市民のみなさんと共同して
憲法で守る日本の平和 「国民の不断の努力」が重要
9条は日本の宝!吹田のつどい2010
記念講演
2月10日、「九条は日本の宝!吹田のつどい2010」が開催され、会場のメイシアター中ホールは500人の参加者でいっぱいになりました。
主催者を代表して徳井義幸さん(北大阪総合法律事務所)は「つどいも今日で3回目を迎えます。実行委員会に参加する九条の会も1回目の32から2回目が35、そして3回目は38にと着実に増え、九条を守り生かそうという運動が吹田の地からも広がっていることを実感しています。草の根の運動が広がる中で、明文改憲の動きも表面上は止まっていることには自信をもってよいのではないでしょうか。しかしながら、海賊対策などを理由に自衛隊が海外に出兵することも当たり前になっていることも見過ごすことはできません。そのうちに自衛隊の武力行使も当たり前になりはしないかと危惧します。今年は日米安保50周年であり、安保条約のあり方も考えていく必要があります。このようなもとで、九条を守り生かす運動をさらに広げましょう」とよびかけました。
鈴木君代さん
続いて舞台に立ったのは、真宗大谷派の僧侶でありながらシンガーソングライターとして、いのちや愛をテーマにうたう鈴木君代さん。「だれも世界中のだれも殺してはならない。殺さしめてはならない。人を殺すのにどんな正義もない。どんな戦争も未だかつて正しいものはひとつもない」と歌う声が心に沁み入りました。
記念講演は「憲法9条 私はこう考える―国家にだまされないために―」と題して、立命館大学の名誉教授で国際平和ミュージアム名誉館長の安斎育郎さん。お得意の手品も交えた早口のお話に引き込まれ、「憲法で平和を守る」ために、「国民の不断の努力」が重要であることを学びました。
つどいは、「本日の講演に学び、吹田で九条を守る運動を広げるため不断の努力を重ねようではありませんか。来年はさらに運動を大きく広げてお会いしましょう」との床島央明さん(憲法を守り、生かす会代表)のあいさつで幕を閉じました。
講演要旨
思い込みはあぶない。科学者だってだまされる。だれでもだまされる。だますのは詐欺師だけとは限らない。国家も国民をだます。かつて、アメリカはトンキン湾事件という自作自演でベトナム戦争を始めた。イラク戦争だってそう。日本も満州で自ら鉄道に爆薬を仕掛けておいて中国の仕業に見せかけて15年戦争を開始した。
国家もウソをつくことを忘れてはいけない。日本国憲法をだまして変えられないようにしないと。憲法9条の解釈をめぐって、かつて吉田茂首相は「自衛のためか否かを問わず軍隊をもてない」と答弁したが、その後のアメリカの政策変更のもとで警察予備隊をつくり、これが自衛隊に。岸信介首相に至っては「自衛のための最小限度の範囲を超えない限り核兵器をもつことも憲法に反しない」と明言。さらに80年代には内閣法制局長官が「核兵器をつかっても自衛のための最小限度の範囲を超えない限り許される」とまで解釈改憲をすすめた。
ここまでくると、改憲派は憲法の条文そのものを変えてしまおうと、いよいよ明文改憲に。狙いは、9条を変えることと、憲法を変えやすくすること。「できれば憲法は毎年変えたい」と公言する政治家も。
一方、「憲法を守っても国が滅びたら仕方がない。となりに物騒な国があるのに、憲法が守ってくれるのか」という若い人の意見もある。こういう意見も説得しなければならない。9条をもとにすれば現在よりもはるかに安全な国になるという安全保障政策を打ち出す必要がある。それは「憲法を守る」ことから「憲法で守る」ということ。まず、何よりも国民生活の安全保障が第一。そしてアメリカの「核の傘」から脱すること。
もしも安斎育郎が総理大臣になったら、1.安保条約にもとづいて安保条約を破棄し、日米核安保体制を離脱し、非同盟・中立・非核の安全保障政策を確立する。2.平和・共生外交基本法をつくり、世界中の国々と対等・平等・互恵・不可侵の平和条約を結ぶ。そうすれば、だれも日本を攻めてこない。3.モンゴルも国連総会で核兵器をもたないと宣言していることに倣い、憲法の不戦・平和主義や非核3原則を国連総会で表明する。4.いまや風前の灯となっている武器輸出3原則を強化し厳格に守る。5.自衛隊はなくしたら20数万人の自衛隊員とその家族が路頭に迷うことになるので、海上保安隊と災害救助隊に改組する。6.国会に国際貢献委員会を設置したり、国際貢献大学を設立したり、非軍事的な国際貢献をすすめる。7.軍隊をもたない国コスタリカが国連平和大学をもつように、平和研究を推進する。8.平和教育をすすめ、平和のために自分が何ができるか主体的に考える力を形成する。9.「他国の友人を殺しに行かない」よう国際交流をすすめる。10.防衛省を廃廃止して平和省を創設する。
これまで、私たちはつまり、悪人はお上(公権力)がやっつけてくれるという「水戸黄門症候群」に陥っていたが、黄門様に期待するのではなく、自ら主体的に努力することが必要だ。それは、憲法12条にも「国民は不断に努力しなければならない」と定められているところ。一人ひとりは微力だが、決して無力ではない。