2016年12月18日、第34回吹田まちづくり・くらし市政を考える研究集会が大和大学で開催され、豊かなくらしと住みよいまちづくりを願う市民・研究者、そして市職員あわせて294人が集まりました。
主催者を代表して、鈴木英夫実行委員長は「今日の市政研では若い人たちもまじえて、吹田のこれからの市民生活について、未来に向かってまちをつくりあげる立場にたって話をするいい機会にしたい。楽しい意見交換ができることを願っています。」と挨拶しました。
午前中は「憲法がくらしと仕事にいきづくまち吹田へ」をテーマにした記念フォーラム。くらしや仕事の上での問題を、講演&クロストークで語り合いました。
最初に安原邦博さん(弁護士・明日の自由を守る若手弁護士の会)がパワーポイントを使って、憲法で保障されている権利について、制定されるまでの過程をふくめて、わかりやすく、くらしに引き寄せて説明されました。そして、日本国憲法が一番大事にしているのは「個人の尊重」であり、そのために基本的人権の保障、国民主権、平和主義という三大原則が定められ、それらを守るために立憲主義が採られていると強調されました。
クロストークでは、グループホームで働く市瀬薫子さんが、障害者福祉の仕事の魅力をどう伝えるのか語り、保育園の待機児問題で苦労した経験を持つ久松真澄さんは、保育園に入れなくて困っている人がいるのに現状が変えられないのはなぜ?と訴え、千里ニュータウン地域保健福祉センターで働く勇上清子さんは、「よき人間関係」が健康で幸福にすごすことができる要因と語り、それぞれの問題意識を交えて自己紹介を行いました。安原弁護士を交えて、「障害者福祉をもっとよくしたいと署名を集めても、国や市に声が届かない」「署名は『政治的な活動』と決めつけられて、くらしをよくしたいと思っていても、つながれないようになっている」「政治もくらしも密接にかかわるものであり、憲法によって守られている。『政治的なものはダメ』というのは、『福祉の増進』を求めることを制限するものでとんでもない」など意見交換を行いました。
基調報告では、いまや人口が37万人に達し「いきおいがある街」といわれるものの「いくつかの拠点においては人口の増加は明らかですが、例えばJR以南地域をみると、人口増の気配は全くありません。商店街もかつてのようなにぎわいをどうやって作り出すか大きな課題となっています。このように、吹田の現状をみると、地域によってはムラがあるのではないでしょうか。事業所も増えているといいますが、地域ごと、業種ごとにみれば、バラつきがあるのではないでしょうか」と問題提起し、「本研究集会は、とりわけ吹田市が第4次総合計画の策定に向けた検討をすすめているもとで住民の側からの政策提言につなげたい」という意義を述べ、地方自治において「選択と集中」が迫られ、住民自治と団体自治という「地方自治の本旨」が脅かされる事態に至っているもとで、市民生活の実態と課題、「市民によりそう」行政の施策、住民の運動の到達点、まちの変化を明らかにしながら、地域ごとのまちづくり計画が求められていること、「憲法がくらしと仕事にいきづくまち」をめざしましょうと呼びかけました。
午後からは、「要支援者に対応できる 防災のまちへ」をテーマとした防災のまちづくりを考える分科会、「安心して子育てできる吹田を」をテーマとした子育てを考える分科会 「高齢者・障害者を支える地域づくりと公的責任を考える」をテーマとした高齢者と障害者の福祉を考える分科会、「ヒト・カネ・モノの地域循環を」をテーマとした地域経済と雇用を考える分科会、「子どもたちを信じて互いに力を出し合えるまちへ」をテーマとした「こどもの貧困」を考える分科会に、それぞれ分かれて、学習と討論を深めました。