2017年11月23日、大和大学において、第35回市政研究集会が開催され、350人近い住民と市職員、研究者が一堂に会して、住みよいまちづくりと豊かなくらしの実現をめざして、学び合い語り合いました。
開会にあたり、鈴木英夫実行委員長は「吹田市が第4次総合計画の策定を準備しているもとで、住民の側からも提案していこう」と呼びかけました。
基調講演に立った中山徹さん(大阪自治体問題研究所理事長・神戸大学教授)は「人口減少時代なのに開発をすすめる自治体がある一方で、ビジョンなく歳出削減をすすめるだけの自治体もある。いま必要なのは、市民の要求に応える共同型の自治体だ。特に地域の特性を生かした循環型経済の実現、くらし続けられる生活圏の整備、市民参加による行政の地域化が必要だ。そのために市職員は本庁から地域に出ていこう」と課題を明らかにされました。
実行委員会を代表して市労連・坂田委員長は「こんな吹田にしたい」と基調提案を行いました。
都市間競争を勝ち抜いて人口流入を図るのではなく、むしろ人口を抑制して「住み続けられる」まちづくりをすすめることが重要です。
安心して出産でき、働きながらでも子育てがしやすいまちに。吹田で育った子どもたちが就職できるまちに。障がい者がくらしやすいバリアフリーのまちに。高齢化を前提にして、高齢者が安心してくらしていけるまちに。子どもからお年寄りまで、文化やスポーツが豊かに育まれるまちに。豊かな地域コミュニティが形成された安心安全なまちに。……「吹田に生まれ、育ち、働き、終の住み処とする」ことができる、そんなまちをつくりたいものです。
(1)生まれるときから一人ひとりが尊重され、安心して子育てできるまちに
妊娠し、母子手帳が交付された時から、かかりつけの保健師が、出産への不安解消を図り、安心して出産できるように。
出産後も引き続き母子をフォローし、健診につないで、障がいの早期発見・早期療育へ。育児不安の解消のため、地域の子育て支援センターにも通えます。のびのび子育てプラザでは、子育てサークルの活動も応援します。
共働き家庭の一番の悩みとなる保育所入所については、各地域に設置された待機児童のための公立の小規模保育施設で、認可保育園への入所を待ちます。民間保育園への助成額の増額によって、公立でも民間でも同じ条件で保育を受けられるように。保護者同士も市の援助を得て交流をすすめます。
地域で子育て中の保護者たちは、児童会館・児童センターを利用して、子育ての相談や交流ができます。
保育士をはじめ子育て支援に従事する専門職の体制が確保され、専門職が安心して働き続けられるよう、民間施設もふくめて労働条件が保障されます。
(2)学校に上がっても安心のまちに
小学校に上がっても、充実した学童保育があれば共働き家庭も安心。子どもたちも放課後の居場所ができます。吹田のどこに住んでいても、経験豊富な指導員で安心の直営学童保育に通えるように。障がいをもった子どもたちも、障がい児介助員の援助で放課後まで安心の1日を送ります。
学童保育に通っていない子どもたちも、太陽の広場を放課後の居場所とすることができます。
すべての小学校に専門の司書が配置され、子どもたちの読書力が高められます。
小学校も中学校も、食育が重視され、すべて安心・安全な直営のあったか給食となり、子どもたちの成長も図られます。
就学後の様々な相談は、各学校に配置されたスクールソーシャルワーカーに。
中学生や高校生の居場所となるのは、青少年活動サポートプラザです。専門職が援助しながら、中高生の自主性を伸ばします。
「吹田のまちが大好き」……そんな子どもたちをつくります。
(3)若者が働き続けられるまちに
子どもたちにとって就職は重大な問題です。大学や専門学校を出た子どもたちが、「吹田のために働きたい」「吹田のまちで働きたい」という思いを、吹田市奨学生制度で支援します。また、吹田市民を雇用する市内事業者にも支援が行われます。障がい者の働く場も確保されます。公契約条例の制定で公共の仕事に従事する労働者の賃金水準も確保されます。
「おやじの後は任せろ」……そんな商工業者の後継者にも、資金援助や専門家による経営アドバイスなどで支援が行われます。
勤労者会館には専門家も配置されて、勤労者のセンターにふさわしく、勤労者のためのセミナーや労働相談が実施され、JOBなびすいたとも連携して就職活動の援助も行われます。
(4)高齢者・障がい者がいきいきと「住み続けられる」まちに
高齢者生きがい活動センターを拠点として、各地域のふれあい交流サロンと高齢者いこいの間を高齢者が活躍できる居場所とします。自治会など地域の活動も、知恵と経験を生かして高齢者が力を発揮します。健康づくりのため市民体育館が活用されます。高齢クラブの様々な活動への援助も行われます。高齢者の知恵と経験が継承される取り組みがすすめられます。また、高齢者はコミュニティバスを利用して市内を移動することができます。
健康に不安を抱える高齢者が安心して医療にかかれるように、市独自の医療費助成が行われます。かかりつけの保健師にいつでも健康上の相談ができます。自宅での生活が困難になった場合には特別養護老人ホーム、認知症の方はグループホームへと入所への援助も受けられます。
障がい者も、年齢に応じた援助を受けて、安心して老いることができます。障がい者の家族も安心です。
市役所と地域コミュニティ、そして様々なネットワークの確立によって「住み続けられる」まちが支えられます。「吹田に生まれ、育ち、働き、終の住み処とする」ことができるまちへみんなの力を寄せ合いましょう。
提案を受けて、「吹田市におけるスクールソーシャルワーク活動」「地域図書館と図書館の役割、私たちの働き方」「保育所をネットワークの核にした子育て支援の広がり」がそれぞれ報告されました。
午後からは、「官製ワーキグプアと市民のくらし」「地域計画と住民参加」「子どもの育ちと子育て支援」「脱貧困」「我が事丸ごと社会とは」「災害と障がい者のいのちとくらし」の6つの分科会に分かれて、それぞれ熱心な討論が行われました。