2018年11月23日、第36回吹田まちづくり・くらし・市政を考える研究集会が大和大学で開催され、市民、市職員、研究者など350人が参加し、午前中はフォーラムなど全体会、午後からは6つの分科会で熱心な討論が行われました。
開会にあたって、実行委員長の鈴木英夫さんは「吹田市政研は、36年前に箕面の勝尾寺で始まり、関西大学を経て、今年も大和大学で開催することができた。その間、市政も吹田のまちも大きく変わってきている。ニュータウンが完成した当時は、生活要求を中心に保育所建設や学童保育を求める住民運動が活発になり、「福祉のまち吹田」と呼ばれるようになった。しかし、今では、公立保育園の民営化や学童保育の民間委託、障がい者施策の加算制度の削減も行われるなど様変わりしている。住民のくらしから遠いところで政策決定されているのではないか。吹田市の課題を語り合い、「住んでいてよかった」と思えるような一日にしたい」と呼びかけました。
フォーラムでは、まず最初に大阪自治体問題研究所理事長(奈良女子大学教授)の中山徹さんが「いま地方自治体が一番大事にしたいこと」と問題提起。
国際競争も激化し、人口減少時代を迎え、国では、効率的なまちにつくり変えるコンパクトシティ化の推進、社会の仕組みを変える動きがすすんでいる。このようなもとで自治体のあり方をどうするのかも問われている。
開発によって地域の活性化を図ろうとする「開発型自治体」なのか、お金がないからと市民向け施策も何でも削減する「削減型自治体」なのか、それとも、市民生活をよくしたいと願う市民の共同で地域の課題を克服する「市民共同自治体」なのか。
2025年には団塊の世代が後期高齢者となる。歳を重ねても、住み慣れたまちでくらしていける地域をどうつくるのか、自治体は真剣に取り組まなければならない。
市労連の坂田委員長は「見えてきた吹田市政の課題」として、@生まれたときから一人ひとりが尊重され、安心して子育てできるまち、A学校に上がっても安心のまち、B若者が働き続けられるまち、C障がい者が住み続けられるまち、D高齢者が安心して老いるまち、E災害に強いまち、F子どもから高齢者まで、みんなが住み続けられるネットワークのまち、を実現して「吹田に生まれ、育ち、働き、終の住処とすることができるまち」をめざそうと提起しました。
フォーラムの最後は、「私の願い 私の提案」として3人の方から発言がありました。
吹田市社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカーの中野和代さんは、子育てサロンや高齢者のふれあい昼食会などの活動のほか、大阪北部地震時の災害ボランティアセンターとして700件の要請に応えたことなどを紹介。6ブロック33地区福祉委員会と協力して、不安や孤独を解消して「誰もが安心して暮らせるまちづくり」を支援していきたいと語りました。
吹田支援学校PTA会長の宮本敦司さんは、全国の特別支援学校で東日本大震災以降、防災教育がすすんでいることを紹介。災害時に避難所に行けない人たちの課題を明らかにして解決していきたい、障がいをもっていても住み続けられるまちであってほしいと語りました。
吹田保育運動連絡会会長の江草ひとみさんは、かつては保育士と保護者が何でも言い合えて相談できる環境があったのに、今は保護者と保育士が分断されてしまっている。さらに、保護者の主体的な活動まで制限しないでほしい、保護者と保護者、保護者と保育士がつながりたいと訴えました。