地方公務員法及び地方自治法改正が2020年4月から施行され、これまで一般職非常勤職員や臨時雇用員などの名称で自治体に任用されてきた非正規公務員が、会計年度任用職員に移行しました。
吹田市役所においては、この10数年の間に急速に非正規職員への置き換えが進み、今や非正規職員が占める比率が50%近くになっています。非正規職員は最長1年ごとの任用にもかかわらず、市民サービスを提供する中で重要な役割を担っています。
ところが、臨時雇用員は1年続けて働くことが認められず、1年のうちに1か月の中断期間が設けられ、業務に大きな支障となっていました。また、何年も繰り返し任用されていても中断期間があるからと、20年以上働いていても全く昇給はありませんでした。
一方、一般職非常勤職員は、長年にわたる労使交渉のもとで、正規職員との格差是正が進められ、専門性が蓄積することが認められる一部の職種について経験加算が認められて正規職員と同様に昇給し、一時金(ボーナス)も12か月に分割して毎月の報酬に繰り入れ支給されてきていましたから、「同一労働同一賃金」の先駆けといえるものとなっていました。したがって、経験加算や一時金繰り入れの対象となる職種を拡大することや正規職員と同様に地域手当を支給することが課題となっていました。
法改正にあたっての国会審議では、法改正の趣旨は、任用の適正化と非正規職員の処遇改善にあるとされ、移行にあたっては、不利益を生じさせないことや再度の任用が可能であることを周知することが附帯決議とされましたから、市労連は、移行にあたって、@不利益を生じさせないこと、A市民サービスを低下させないこと、B労使交渉を尽くし労使合意で解決すること、という確認に立って、解決を求めてきました。つまり、新制度が始まる時に、現在任用されている非常勤職員・臨時雇用員の処遇が改善され、雇用も継続されることにより、これまでの市民サービスも維持されると考えていました。
このようなもとでスタートした会計年度任用職員制度では、従来の事務・現業系の臨時雇用員については、1か月の任用中断期間もなくなり、各種休暇が拡充されるとともに、地域手当や期末手当が支給されるようになり、2回に限るものの昇給も認められるようになりました。しかし、従来の一般職非常勤職員については、地域手当が支給されるもののこれまで月額報酬に繰り入れられていた一時金相当分のうち勤勉手当が支給されず、しかも、繰入を見直すことにより月額報酬が下がり、さらに、新制度への移行初年度の6月期の期末手当は一律に30%支給とされたため、会計年度任用職員制度への移行によって改善されるどころか、1年目は年収でマイナスとなることが判明しました。
このため、市労連は、非正規職員の処遇改善という法改正の趣旨や「不利益を生じさせない」という国会附帯決議に反するものとして、ただちに改善するよう求めています。