【市労連が声明を発表】3月23日、市議会本会議において、市民課業務委託関連経費を削減した修正予算案が可決したことを受け、吹田市労連では、次の声明を発表しました。
市議会において市民課業務委託を全額削除した修正予算案可決
市民と労働組合・学者・弁護士などの共同が結実
住民のくらし守るために引き続き奮闘
3月16日、吹田市議会2月定例会予算常任委員会において、市民課業務委託関連予算について削除することが理事者側から表明され、23日の本会議において、市民課業務委託関連経費を削除した一般会計予算案の一部修正案が可決されました。
2022年1月から始まった短期間の市民課業務委託反対の運動が実を結び、市民課業務委託の撤回を勝ち取ることができました。労働組合や市民の願いを受けとめ、良識を発揮していただいた市議会のみなさんに感謝申し上げます。
ご協力・ご支援いただいた学者や研究者、弁護士、個人、団体、自治労連の仲間のみなさんにあらためてお礼を申し上げるとともに、喜びを分かち合いたいと思います。
本当にありがとうございました。
重大な問題を抱えた市民課業務委託計画案
今回の市民課業務委託計画は、個人情報の保護が十分でないこと、住民サービスが低下すること、委託料の増大で市の財政にも悪影響を及ぼすことという重大な問題を抱えていました。しかも、そのような重大な問題があるにもかかわらず、吹田市当局は、専門家の意見も聞かず、市民にも知らせないまま、短期間のうちに議会の承認をとりつけて拙速にすすめようというもので、手続き的にも問題がありました。
そこで、当局からこの計画の説明を受けた労働組合が、その内容と問題点をただちに職場の仲間と市民に知らせたことが運動の出発点でした。
これに応えて、多くの住民団体や大阪自治労連をはじめとする労働組合が撤回を求める要請を再三行ってくださいました。
学者・研究者・弁護士など多くの賛同広がる
さらに、二宮厚美さん(神戸大学名誉教授)、徳井義幸さん(弁護士)、河村学さん(弁護士)が呼びかけた「吹田の豊かな公共を取り戻す市民の会」のアピールには、吹田市の行政に深く関わってこられた学識経験者や弁護士、研究者の間に賛同が広がりました。
市民の会の「はがき」が大きな励みに
住民団体は「市民の会」ビラを使って、市役所前はもちろん市内各地で宣伝を行い、多くの市民に知らせることになりました。「市民の会」ビラの市長あてのハガキの返送は3月14日までに405通にものぼり、95%の人が委託計画に不安が「ある」と回答し、コメント欄には市民課の仕事を評価する声やアウトソーシングがすすむことへの批判、個人情報を民間事業者が扱うことへの不安の声がびっしりと書かれていました。この市民の声は市民課職場だけではなく、多くの吹田市職員を励ますものとなりました。
また、豊川義明弁護士をはじめ5人の弁護士が作成し、27人の弁護士の賛同を得て提出された意見書は、この委託計画が法的にも問題があり、他市において生じている様々な問題を明らかにするものでした。
議会でも当局の矛盾追及
市民コメントは3度にわたり、市長と議員のみなさんに提出されましたが、弁護士意見書とともに委員のみなさんが活用されているのは、議会質疑からみても明らかでした。
市民団体の要望書に対して虚偽の回答をしたことを追及されると、政策決定の定義を歪曲化し、急ごしらえの委託計画を「どこの市でもやっている」と強弁し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)開始までの「3年限りの7億円」の委託であることが委員会質疑で初めて明らかになるなど、委託計画のずさんさや市民や議会に対する不誠実さも市議会・委員会の論戦のなかで浮き彫りになり、吹田市当局は委託予算の削除、すなわち委託計画の撤回に至りました。
背景には国のすすめる自治体戦略2040構想
この委託撤回の運動を通じて、2020年4月に中核市に移行したばかりの吹田市が、市民、地域、職場、議会との合意形成を怠り、総務省のすすめる「自治体戦略2040構想」に前のめりに突き進もうとしていることが明白になりました。
この市民課業務委託計画が、これまでの保育園や学童保育、図書館などのアウトソーシングと一線を画したのは、「2040構想」を背景に、自治体DX推進のための事務事業の標準化をすすめることを念頭に置いており、経費削減や人員削減などを理由にしないことにありました。今後、全国の地方自治体に襲いかかるであろう「2040構想」とのたたかいが、吹田市では、市民課業務委託という形で出現したものです。現岸田政権は、「デジタル田園都市国家構想」による地方活性化の推進をすすめており、今後も新自由主義を推進する政権が続く限り、終息するものではないことは明らかです。
市民本位の市政めざし引き続き奮闘します
今回の運動は、これまでの吹田の中で追求してきた、市民と学者・研究者・専門家、労働組合との共同が見事に融合し、結実した結果というものです。今回の教訓と経験をいかし、市民本位の市政実現に向けて、いっそう奮闘する決意です。