吹田市非常勤職員雇い止め撤回を求める裁判が、2016年7月13日、大阪地方裁判所809号法廷において結審しました。
この裁判は、総合福祉会館生活介護事業に従事していた非常勤職員の藤井雅子さん、福田廣子さんが、20年以上にわたって任用を繰り返してきたにもかかわらず、事業の民間委託に伴い、一方的に雇い止めされたことに対して、地位の確認(雇い止めの撤回)と損害賠償などを求め、2013年3月に提訴していたものです。
裁判が長期にわたり、早期の解決が求められる中で、裁判長から和解協議が提案され、当事者間での和解協議をすすめました。協議の到達点にもとづいて、吹田市当局は和解案を市議会5月定例会に提案しました。
ところが、市議会においては、通常では考えられないことですが、残念なことに和解案が賛成少数で否決されるという結果となりました。このようなもとで、決着は判決によることとなり、13日の口頭弁論期日を迎えていました。
原告側、被告側双方がこれまでの主張を整理した最終の準備書面を提出し、原告側代理人・豊川弁護士は「この事案は、上から読んでも下から読んでも、右から見ても左から見ても、どこからみても法的保護の必要性があるものである」と切り出し、「過去の判例とは異なる特別なものといえる。それは、原告らが生活指導員であって、配置転換できる可能性があること、任用の更新を20回以上も重ねてきたこと、このような状況をみれば地方公務員法にも定められた平等原則にしたがって正職員同様に非常勤職員も配置転換すべきであったこと、吹田市の労使関係において『雇い止めを行わない』という合意があったこと、特に平成22年の労使合意については労働協約としての性格を有していることをふまえた判断を願う」と、主張を補充しました。
双方の主張が言い尽くされたことを確認した内藤裁判長は、「これをもって裁判を終結します。判決言い渡しは10月12日13時10分から行います。」と告げ、閉廷しました。
裁判の中で焦点となっているのは、@原告らは総合福祉会館に職場が限定された非常勤職員であるのか、それとも吹田市の生活指導員であって職場は限定されないのか。A同じ事業に従事してきた正規職員が配置転換されるのに、非常勤職員は配置転換を行わないことは平等原則に反するか否か。B非常勤職員は1年任用とはいえ、更新されるという期待をもつのが当然であったのかどうか。C雇い止めを避けるために吹田市が手を尽くしたといえるかどうか。原告らを配置転換できる職場はなかったのかどうか。といった点です。
前市政のもとでは、「カット、カット、カット」が当たり前でしたから、非常勤職員について一方的に雇い止めするということも「起こるべくして起こった」ことです。長年にわたって市政に多大な貢献をしてきた非常勤職員を「使い捨て」したことが最大の問題です。
「傾聴と対話」「市民によりそう清潔で民主的な市政」を標榜する現市政が、前の市政の犯した誤りを正そうと和解による解決を図ったのは当然です。
吹田市役所で今や46%を占めるに至った非正規職員が「使い捨て」されることなく、安心して働き続けられるように、そして全国の自治体で働く非正規職員への励ましとなるよう、勝利判決をめざします。裁判所が、形式的な解釈にとどまらず、実態をふまえて、公正に判断されることを求めます。