2016年10月12日、吹田市非常勤職員雇い止め撤回を求める裁判について、大阪地裁第5民事部の内藤裕之裁判長は、「1 原告らを非常勤職員として任用することの義務付けを求める部分をいずれも却下する。2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。3 訴訟費用は原告らの負担とする。」という判決を言渡しました。
20年以上にわたり繰り返し雇用されてきた二人を雇い止めしたという事実に背を向け、「継続して働けるであろう」という期待権の侵害すら一切認めない不当な判決です。市労連は、不当判決に断固として抗議するものです。
総合福祉会館の生活介護事業に従事していた非常勤職員の藤井雅子さん、福田廣子さんが、事業の民間委託に伴い2012年9月30日に雇い止めされたもとで、@2012年10月1日以降も非常勤職員としての地位にあったものと認めること、A2012年10月1日付けで非常勤職員として任用すること、B任用継続に対する期待権を侵害されたことへの損害を賠償すること、を求めて、二人は2013年3月28日、大阪地裁に提訴しました。
二人は、形式的には期間を1年に限って雇用されてはいたものの、「雇い止めはしない」と繰り返し説明されてきたことや、実際にも反復継続して更新され続けてきたこと等によって、今後も継続的に更新されることを期待することに合理的な理由がありました。にもかかわらず、当局は、単に期間が満了したことのみを理由として、原告らとの雇用を打ち切ったのです。同じ業務に従事する正規職員については配置転換を行って雇用を継続させる措置がとられたにもかかわらず、非常勤職員については一方的に雇い止めを行い、雇用確保も行われなかったのです。
吹田市においては、非常勤職員について、本人が雇用継続を希望しているにもかかわらず、その意に反して雇い止めが行われたことはありませんでした。非常勤職員が担当していた業務が廃止される場合であっても、当該非常勤職員の意に反する雇い止めはおこなわれず、配置転換によって雇用が継続されてきました。経験年数加算表も適用され、長期間継続して雇用され続けることが当然に予定されていたのです。非常勤職員については、本人の希望がある限り、60歳を超えても雇用が継続されるものとされていました。
雇い止めは、二人の生活に重大な損害を与えました。突然の雇い止めにより生活基盤が脅かされ、人生設計まで狂わされ、経済的・精神的損害は計り知れません。
さらに、雇い止めにより、それまでの生活介護事業の利用者は、長年にわたって蓄積された経験を生かしたケアを受けられなくなることになりました。その後も、利用者そっちのけで、事業を受託した事業者も3年後には交替してしまいました。二人の非常勤職員の雇い止めと、その前提となる民間委託は、生活介護事業を利用してきた市民にも重大な損害を与えてきたといわざるをえません。
二人は「一方的な雇い止めは許せない。黙っていては吹田市がおかしくなってしまう。自分たちだけの問題ではない」との思いから裁判闘争を決意されました。
市労連は、@総合福祉会館生活介護事業の委託に伴い雇い止めとなった二人の不利益を回復すること。A他の職場の非正規職員についての雇い止めを許さないことにつなげること。B維新市政における無法なやり方を告発し、アウトソーシング推進に歯止めをかけること。C全国の自治体ですすむ雇い止めにストップをかける闘いの先頭に立つこと。D自治体における非正規職員の実態を明らかにし、市民理解を広げること。という闘いの意義を確認し、二人の闘いを支援してきました。
この間、幅広い共同の力で無法な維新市政をストップするとともに、二人の闘いに共感し、支援する会も広がり、全国津々浦々から公正判決を要請する署名が2万筆以上も寄せられています。
私たちは、闘いの広がりに確信をもち、非正規公務員の働き方を改善させるため、不当判決に屈することなく、全国の仲間と力を合わせて引き続き奮闘する決意を表明します。
2016年10月12日 吹田市労働組合連合会執行委員会