2016年5月31日、市議会本会議において、3月9日に「大阪維新の会」が議員提案し、継続審査となっていた「職員の政治的行為の制限に関する条例」(案)、「労使関係に関する条例」(案)、「組合費チェックオフ廃止条例」(案)の3条例案が否決されました。
このような条例を制定しなければならない必要性すなわち立法事実がないもとで否決に至ったことは当然です。
第1に、政治的行為制限条例については、憲法で保障された公務員の政治活動の自由に対し、地方公務員法36条を上回る制約を課すものであり、違法であるとの法律意見書も提出されていました。地方公務員法36条違反の事例が吹田市職員について見受けられないもとで、このような条例を定める余地はありませんでした。
第2に、労使関係条例については、本来労使自治に委ねられている事柄までも、地方公務員法など関係法令を上回る制約を課すものであり、憲法で保障された労働者の団結権・団体交渉権を不当に制約するものとなるおそれがありました。しかも、労使間においては、当局提案に対する交渉を行い、必要な見直しを行う方向を確認していたところであり、このような条例を定める余地はありませんでした。
第3に、組合費チェックオフの廃止については、その必要性は全くないどころか、労働組合の弱体化を狙いとするものであり、不当労働行為となることは明らかでした。組合費チェックオフについての組合員本人の同意を書面で当局に対して提出すべきであるという点についても、新規加入者についてはすでに実施しており、以前からの組合員については黙示の同意があるもとで、あえて同意書面を求める必要性はどこにもありませんでした。
今回このような結果に至ったのは、第一に、労使間で自主的に解決するという姿勢がつらぬかれたことです。解決に向けた当局の努力を率直に認めるものです。
労働組合は、市議会のみなさんが良識をもって判断されることを願ってきたところですが、今回の結果は「労使自治を尊重する」という、まさに市議会の良識が発揮されたものと受けとめます。
また、法律意見書をご提出いただいた弁護士のみなさん、大阪自治労連をはじめ加盟各単組、地域の労働組合や住民団体など多くの方から、ご支援をいただいたことに心から感謝します。
同時に、労働組合に対して厳しい指摘もあったと認識しています。これを機にあらためて、公務労働者として憲法ならびに法令を遵守するとともに、今後も必要な見直しについてはすすめていくことを表明します。
一方、同日の本会議において、「非常勤職員雇い止め裁判」について市長が提案していた和解案も、賛成少数により否決されました。
早期解決への原告の期待がふみにじられたことに、憤りを禁じ得ません。
また、裁判所において当事者間で和解の協議がすすめられてきたにもかかわらず、市議会が否決するという事態は異例であり、これでは吹田市の相手方は安心して和解協議に臨むことができなくなるような禍根を残すものといわざるを得ません。
和解案は、(1)被告は、原告らに対し、総合福祉会館内の業務の民間委託に伴う職の廃止に関連して原告らとの間で本件紛争が生じたことについて、遺憾の意を表する。(2)被告は、原告らに対して各金200万円の支払義務があることを認める。などというものでした。
労働組合は、雇い止めの撤回、原職復帰を求めてきましたが、雇い止めから3年半にわたる闘いとなっているもとで、原告の生活を考えれば、早期に解決することが必要であり、年齢的にも60台半ばにさしかかるに至り、原職復帰は困難であるというもとで、金銭解決することはやむをえないと判断し、和解により解決することは市政の転換を象徴するものとなることなどを評価し、原告二人から和解に応じてよいという意思が示されましたので、和解協議に臨んでいました。
残念ながら和解案は否決され、裁判が継続されることになりましたが、和解案の提案をみても市政の変化は浮き彫りになっています。労働組合は、そこに希望を見出しながら、今や46%を占める非正規職員が安心して働き続けられる職場とするために、あらためて奮闘する決意を表明するものです。
引き続き、ご支援よろしくお願いします。