吹田市では、いま、井上新市長による「行政の維新プロジェクト」がすすんでいます。「事業見直し」と称して、公立保育園の一部民営化や福祉バスの「廃止」、障害者サービスの「縮小」、再生資源回収事業報奨金「縮小」などが市民不在のまま、すすめられようとしていますが、地域の自治会や子ども会、保育園の保護者、障害者とその家族をはじめとする各地域・各層から、撤回や再考を求める要望書などが寄せられています。短時間のうちに提出された署名などは44種類、福祉バス存続や公立保育所民営化反対など、それぞれ1万筆を超える署名も提出されています。
初登庁時に井上市長は、吹田市の財政状況は「赤字」であると、「財政非常事態宣言」を行い、財政状況の立て直しを最優先にすると宣言しましたが、昨年の11月に発表された平成22年度の決算状況では、1億5千万円の黒字であることがすでに明らかになっています。
「赤字」と市民を脅して、市民サービスの削減方針を打ち出す井上市長が、次に手を付けたのは市民に負担を押しつける使用料・手数料・自己負担金の値上げ計画です。幼稚園の保育料や体育館の使用料、市民センターの使用料、市民プールの使用料などの値上げを行い、2億円を超える歳入増を目論んでいます。12月議会では、議論不十分と値上げ条例は継続審議という結果になりましたが、値上げ条例は、4年前、阪口前市長が同様の値上げをしようとしたものの、議会の理解が得られず、取り下げた経過があります。
吹田市の財政状況が「赤字」ではないことが明らかになり、市民生活の厳しさは増す一方であるのに、2億円もの負担を市民におしつける大義名分はどこにもありません。井上市長がいう「持続可能な市民満足度の高い市政」像も、その実態は不明朗です。市民サービスを削り、痛みと負担を市民におしつける「行政の維新プロジェクト」が市民の声や要求と逆行していることがこんなにもうきぼりになっているのに、それでも市長は、ごり押しするのでしょうか。
週刊エコノミスト12月13日号の借金「ギリシャ度」(実質公債比率)のランキングの記事においても、吹田市の借金度は全国市町村1737のうち、1709位で、下から数えても28番目です。客観的に見ても、吹田市の財政が「非常事態」ではないことがハッキリしました。