4月に入って橋下大阪市長が発表した「市政改革案」。敬老パスの廃止、高齢者や母子・父子家庭の上下水道料金福祉措置の廃止、国民健康保険料の値上げ、男女共同参画センターの廃止、文楽協会などへの補助金カットなど、市民のくらしや活動を直撃する。「ぜいたくな住民サービス」を「民間でできることは民間で」、「現役世代への重点投資」を基本方針に総点検した結果だそうだ。
かつての渡辺美智雄氏(みんなの党渡辺善美代表の父親)の暴言「老人にお金をかけるのは、枯れ木に水をやるようなものだ」を思い出した。言っていることは同じことだ。「投資」は「リターン」=利益を前提とする。見返りもない「非現役世代」(高齢者、母子・父子家庭や生活保護世帯、障害者などなど)や文化という「枯れ木」に「投資」することはムダであり、ぜいたくなのだ。
自治体の仕事は、投資によって利益を生み出すことではない。「住民福祉の向上」(地方自治法)であり、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法25条)の保障である。失業者や生活保護世帯など全国でも有数の「格差と貧困」の集中地域である大阪。大阪府知事や大阪市長は、AIJ社長よろしく自分の責任を棚に上げ「投資顧問」を気取っている場合ではない。
もう一つ。「大阪が良くなるなら、プールの一つや二つなくなってもしゃあない」(「朝日新聞」4月5日付夕刊)と「改革案」に理解を示す市民もいる。「改革案」で大阪の「格差と貧困」は、どう「良くなる」のか?橋下維新の会は語らないし、語れない。「しゃあない」ことはないと思うで。
(ともはる)