写真①
写真②
写真③
写真④
昨年12月4日~14日までシリア取材を行った。現地ではアサド軍と自由シリア軍との間で悲惨な内戦が続いている。現地からの報告によると、この冬、たくさんの子どもたちが栄養失調で亡くなった、と言う。私は3月末からシリア再入国を予定している。微力ながら、緊急支援活動に取り組むつもりだ。
2013年12月9日トルコ・シリア国境には、トラックの長蛇の列が伸びていた。シリアへの人道援助物資を運ぶトラックが、戦闘の激化によって足止めされているのだ。
紙幅の関係で国境でのひと騒動は紹介できないが、とにかくシリア入国に成功。国道の両サイドにテント群。オリーブ畑の中に青と白のビニールテント。洗濯物が干してあって、子どもたちが水を汲んでいる。(写真①)
「難民は急増しています。ここだけで数千人…」。通訳シハーブの解説を待つまでもなく、次々と新しいテントが林立しているのが分かる。
国境から車で30分も走れば、アカラバート避難民キャンプに着く。ここはテントではなく仮設住宅。「5つ星ホテルね(笑)。クウェートからの寄附で建てたよ」。シハーブも満足そうだ。
仮設住宅の中に入ってみる。プレハブの2DK。ムハンマドさん(37)はシリア中部ホムス市の出身。(写真②)1年半前、アサド軍に銃撃された。銃弾は体内に入ってから爆発するタイプだった。骨は内部で砕け散った。隣で娘が珍しそうにビデオカメラを覗き込んでいる。
ムハンマドさんの仮設住宅を出て、子どもたちを撮影する。松葉杖の子がいる。モハメド君(5)はアサド軍の空爆で父親と自宅をなくした。彼は左足を撃たれ2回手術したが、まだ松葉杖がないと歩くことができない。(写真③)アサド軍の空爆は無差別殺戮なので、民間人、特に子どもに犠牲が集中する。
車でさらに20分ほどオリーブ畑を走ると、アルラハマキャンプが現れる。ここは「昨日、今日逃げてきた」できたてほやほやのテント群で、主に未亡人、孤児たちが生活している。訪れた日は例外的に暖かかったが、夜間は氷点下に気温が落ちる。もともと山の中のオリーブ畑だ。標高も高いし、強風が吹き付ける。そんな中でビニールシート一枚のテント。このままでは凍死するのでは?
国境への帰路、新たなキャンプができていることを発見。たくさんのテントが建てられている。(写真④)本当はゆっくり取材したいのだが、その様子だけを撮影する。夜になると、この地域では激しい戦闘が始まる。それまでに国境を越えてトルコに逃げないといけない。
午後4時半、無事シリアを脱出。日暮れが近い。人々はこの厳しい冬を乗り越えることができるのだろうか。
『緊急のお願いです』
今回の緊急援助で約150万円分の毛布と医療品を配布しました。そして「イラクの子どもを救う会」の支援金が、ほぼ底をついてしまいました。現地では銃弾を受けた子どもが、麻酔なしで足の切断手術をしています。医薬品が不足しているので助かる命も助かりません。3月末にまた再入国にチャレンジします。長引く不況の上に、4月から消費税増税という状況の中ではありますが、ぜひ趣旨にご理解いただき、緊急シリア募金にご協力ください。
●募金の宛先
郵便振替 00970‐5‐222501
イラクの子どもを救う会