すいた市民しんぶん・給食版.Vol2(2003)
私たち給食調理員は、子どもたちの給食についての生の声をきくため、教室でいっしょに給食を食べることもしています。
あったか給食とほっと・コミュニケーション子どもたちとのあたたかい距離 「自校直営方式」だからできるのです (各校の調理室で市の調理員が調理)
江坂大池小学校 給食調理員「今日の給食なあに?」「フランクフルト食べへんの?きらい?」「好きやから最後に食べるねん」「君は牛乳好きやから最後に飲むん?」「ちがうねん。牛乳先に飲んだら、おなかいっぱいになってほかのが食べられへんねん」
教室では子どもたちから、多くの声が寄せられます。
「ごはんに牛乳あわへんわ。お茶がいいわ」「ジュースがいい」「ジュースもあわへんで、やっぱりお茶や」等など、給食時間の教室は先生の声がかき消されるほどにぎやかです。なかには朝食をとってこない子どももいます。「牛乳は休み時間に飲みたいねん。朝ごはん食べてきてないから、お腹ペコペコや」
これからも子どもたちと給食時間を共にし、子どもたちと同じ目線で、吹田の学校給食をよりよくしていきます。
・いつも給食つくってくれてありがとう。
・給食はいつもおいしいよ。
・給食のカレーが大好きです。家のよりおいしいです。
・野菜がきらいでしたが、少し食べられるようになりました。
・おうどんがおいしいです。(カシワ・にんじんがはいっておいしいです)
・ラーメンがいっぱいあったらいいのになぁ。
・パンが多いのでごはんをふやしてほしい。
・パンの中ではクロワッサンがいちばんおいしいです。
・いえのさかなはいややけど、がっこうのさかなはたべられるよ。
私たち吹田の調理員は、子どもたちの健やかな成長を願い、子どもたちの笑顔に励まされながら業務に励んでいます。これからも、全ての子どもが安心して食べることのできる学校給食をめざし、がんばっていきます。
私たちはこれまでも「よりよい学校給食」をめざし、様々なとりくみをすすめてきました。しかし、1995(平成7)年のO―157の集団感染以降、調理施設の衛生管理が見直され、サラダなどの献立にも制約が加わってきました。
いま、食の安全にまつわる問題や、朝昼晩と規則正しい食事ができず、ファーストフードなどに頼っている子どもたちの実態などもあり、学校給食の重要性はますます高くなっています。これまでにもまして、自校直営方式のよさをいかした、よりよい給食づくりが求められます。
吹田市の学校給食のあゆみ
1944 吹二小学校で学校給食始まる
1966 週5日制で完全給食実施
1969 給食センター開設(当時対象校は11校)
1975 学校栄養職員が配置される
1976 化学調味料の使用をやめる
1980 米飯給食開始
1984 「学校給食を考える地域のつどい」を開催(以後毎年開催しています)
1986 夏期短縮授業中の給食実施
1995 はし・丸スプーンの使用
1996 給食センターから全校自校調理へきりかえ
1996 磁器食器の導入
現在、吹田市として、卵・うずら卵の除去食には取り組んでいますが、これ以外の場合については、各学校の判断で、アレルギーの原因となる食材の除去や対応食を実施したりしています。今後、アレルギー除去に慎重に対応しつつ、全校で対応がすすめられるシステムをつくらなければなりません。
私たちは引き続き、アレルギーをもっている子どもに対しても充実した対応ができるようにとりくんでいきます。
アレルギー除去食で助かっています パンにもアレルギー対策を 小学校6年生の長男がアトピー性皮膚炎とゼンソクで悩んでおり、保育園の頃からアレルギー除去食をお願いしています。卵と乳製品がダメなのですが、卵については入学当初から代用食品などで他の子どもたちと同じような給食にしてもらっています。最近はバターを除去していただけるようになって、自宅から弁当を持参する日が少なくなりました。主食のパンについては、脱脂粉乳が混ざっており、いまだに食べることができません。アレルギーの子どもたちでも食べられるパンを確保してほしいなぁと思います。
津雲台在住 Nさん
PTAが主催して、給食試食会が年に一度、保護者を対象に行なわれています。日頃、子どもたちが食べている手づくりで安全な学校給食を理解してもらうための機会になっています。また、食教育の一貫であることの大切さも伝えています。
〈当日のメニュー〉
・ごはん・牛乳・わかめスープ・ニラと豚肉のごまみそ炒め・ふりかけ
〈保護者の方々からの感想〉
・スープのおだしが煮干しで、ふだん食べているのと違い本当においしかったです。家でもてま暇かけて料理に挑戦しようと思いました。
・ごま味噌炒めは初めて食べましたがおいしかったです。
・子どもの話通りにおいしかったです。牛乳が冷たいまま飲めてよかったです。
・お肉を柔らかくするためにりんごピューレを入れたり、いい香りにするためにすりごまをいれたり、子どもたちのことをよく考えているなあぁと思いました。
・これほど細かい所に気をつけて、献立作成から調理まで作ってくださっていることに感動しました。
・子どもが喜んで学校へ行っている理由の1つが給食がおいしいことです。みなさんが愛情こめて努力してくださってることを知り、納得しています。調理員さんのお話で、食事がからだを作る大切なことと再認識しました。ありがとうございました。
学校長・調理員・栄養士などで構成している「献立作成委員会」で決めています。 献立作成にあたっては、「栄養基準量を満たすこと」「食品衛生上安全であること」「児童の嗜好を考慮し、献立に変化を持たせること」「味はできるだけ薄味であること」「多種類の食品や旬の食材、日本の伝統的な食品なども取り入れるよう努めること」などを考慮しています。
食材の安全対策はどうなっていますか?子どもたちが毎日口にするものですから、食材選びは特に気をつけています。全ての食材について、細菌検査や食品添加物の有無等、必要な項目についての検査をクリアーしたもの以外は使用していません。
果物は低農薬のものを使用しています。野菜は有機栽培品・低農薬品の使用回数を増やすようにつとめ、輸入野菜や果物はポストハーベストの関係で使用していません。油や醤油はもちろんのこと、大豆やとうもろこし等も、遺伝子組みかえ食品は使用していません。
狂牛病騒動のあと自粛していた牛肉の使用については、昨年9月より月1回使用しています。牛肉加工品・ビーフエキス等を含む製品については、現在も使用を自粛しています。
衛生面での注意点は?食中毒を出さないために、子どもたちが食べる時間を考えて調理しています。調理場を衛生的に保ち、安全な食品を提供するため85項目のチェックポイントをもうけ、毎日点検しています。
学校給食の民間委託ってなんですか?学校給食を民間の業者に委託しようとする動きが全国的に強まっています。 しかし、いま学校給食で最も大切なのは、子どもたちの「食教育」に役立つ給食づくりです。これまで、吹田の学校給食では自校直営方式を守って、調理員が教師や栄養士と連携して工夫をこらしてきました。また、子どもたちとのコミュニケーションを大切にしながら「食教育としての給食」にとりくんできました。
しかし、民間委託された他市では、「栄養士が委託業者を直接指導することができず連携が困難になった」「パートの調理員がコロコロ変わって調理の知識や経験の積み重ねができない」「委託業者は契約書の内容がすべてで、柔軟な対応ができない」「冷凍食品や安い材料を使うようになった」などさまざまな問題が出されています。子どもとのコミュニケーションなど、とてもできません。このように民間委託では、安全でおしい給食が守れなくなります。
最近1日3食の食事を規則正しくとれていない子どもが増えているといわれています。特に朝食を抜くと、脳に十分な栄養が回らず集中力を欠いたり、イライラしたりする原因になります。またダイエットを考えて食事の回数を減らすと、不足した栄養を1度の食事で補おうとしてかえって太ってしまうことになります。特に女子では、子どもの頃からしっかりカルシウムをとっておかないと、将来骨粗鬆症になる危険性もあります。一般的に家庭の食事で不足しがちな、子どもの発育に欠くことのできないカルシウムやビタミン類は、学校給食で1日の所要量の約50%を確保できるようになっています。
「給食のつどい」にご参加ください!子どもたちが毎日食べている給食を身近に感じてみませんか? 実際の給食メニューを試食してもらい、パネル展示やビデオで給食の1日を紹介します。私たち吹田の調理員、栄養士、教師が協力して、子どもたちのため、より安全で、よりおいしい学校給食をめざして頑張っていることを見てください。
また日ごろ疑問に思っていること、学校給食に対する要望などもお聞かせいただければ幸いです。
吹田市内の18の中学校区単位で開催していきます。近くで開催の場合はふるってご参加下さい。
市が責任をもってよりよい給食を子どもたちに 私たち給食調理員は、市が責任をもつ自校直営方式でよりよい学校給食をめざしてこのようなとりくみをすすめます。
◎子どもたちの食生活・食教育をささえ、食文化を育む給食づくり・子どもとコミュニケーションをはかりながら、食の大切さを伝え、食文化を育む給食づくりをすすめます
・子どもの声をききながら、希望も取り入れた給食づくりをすすめます
・アレルギー対策など一人ひとりの子どもに対応したきめ細かな給食づくりをすすめ、「すべての子どもが弁当なしで通学できる学校づくり」をめざします
◎清潔で安全・安心の給食づくり・地域の商店街の安心できる食材をつかった手作りの給食づくりをめざし、極力冷凍食品などは使わない安全・安心の給食づくりをすすめます
・いつも調理室を清潔にして、今まで以上に安全・安心の給食づくりをすすめます
◎給食調理員と栄養士・教師・保護者などが連携した給食づくり・給食試食会など保護者と連携したとりくみをすすめ、栄養士と力をあわせて保護者の願いにこたえる給食づくりをめざします
・PTAが行う料理教室等への積極的な関わりをすすめます
◎中学校給食の実施に向けて・中学校給食についても、校内食堂方式など子どもや保護者のニーズにもとづいた給食の実施を求めます