「東御旅町って『工場地帯』というイメージがありましたが、今や都心に近い『居住空間』ですね」「そうなんです。昔の工場が地方に移転して、その跡地にマンションが建ったりして、人口が増えている地域なんですよ」。私を案内してくれたのは、「御旅町自治会、産廃施設反対対策委員会」の徳永愛弓さん。
「こんなところに保育園があるんですね。産廃施設予定地の目と鼻の先じゃないですか」「そうなんです。計画によると、こんなに狭い道路に産業廃棄物を満載した大型トラックが1日80台も通る、ということなんです。こちら側には診療所も。今でも喘息やアトピーに悩まされている子どもやお年寄りが多いのに・・・」
確かに東御旅町は「工業地域」に指定されていて、法律上は産廃施設の建設も可能だ。しかし時代とともに「工業地域」は「住居地域」に変化していく。法律が世の中の流れについていっていないのだ。保育園や診療所のそばに大阪府下のゴミが集められ、シュレッダーにかけられる。無理して買ったマイホームのそばに産廃施設がやってくるのだから、住民にとってはたまったものではない。 大阪都市開発(株)の親会社は村尾興業で、本社は大阪市東淀川区。そんなに産廃事業をしたいなら自宅でやってみろ、というのが住民たちの本音ではないか。
寝耳に水の!?計画 街ぐるみで反対運動この産廃計画が判明したのが04年10月。住民たちにとっては寝耳に水だったが、街ぐるみで反対運動に立ち上がった。産廃施設の営業許可を下ろすのが大阪府。そして施設の建築許可が吹田市の権限。つまり大阪府か吹田市が「住民の健康被害が懸念される」と許可を下ろさなければ、施設は建たない。 「昨年11月、1千通近くの反対署名を添えて阪口吹田市長と面談しました。市長は『(建築許可を出すかどうかは)最終的には私が判断します』と約束してくださいました。常々『吹田の環境を守りたい』とおっしゃってる市長なので、まさか産廃の建築許可を下ろすことはないだろう、と期待しています」(御旅町自治会役員) 1千通の署名といえば、御旅町の人口をはるかに超える。これだけの反対意見を吹田市長が真摯に受け止め、キッパリ「最終判断」できるかどうか。市長の真価が問われている。