SUITA市民しんぶんVol.3(2006)
市長、住民の願いに 背を向ける
吹田市が産業廃棄物処理(産廃)施設にゴーサイン? かねてより周辺住民が猛反対していた、吹田市東御旅町(地図参照)の産廃予定地。さる3月7日には東御旅町の住民と市長との対話が持たれ、その中で「私は環境派の市長ですから、政治判断で止めます」と、市長はキッパリと「産廃ストップ発言」。それから3ヵ月後の6月22日、吹田市は事前に住民との説明会も持たないまま、産廃施設の建設許可を下ろした。
「えっ、これって約束違反では?」「市長の政治判断って何?」…。産廃問題で揺れる現地からレポートします。
「みなさん、大変残念ですが、吹田市は産廃施設の『建設許可』を、業者に下ろしました。この許可を下ろす権限は市長にあります。1万筆以上の反対署名を持っていって、市長も『止めます』と言っていたのに…」。7月4日に開催された緊急住民集会で、西原庄太郎御旅町自治会長は、こう言って唇をかんだ。住民からは「どうして?」「経過を説明して」という質問が相次ぐ。
町ぐるみで反対していたのに…
「5月の連休あたりで、吹田市はコロッとひっくり返ったようだ。6月14日、『説明会をするから15日に来てください』と自宅へFAXが。今日の明日で行けるはずがない。抗議すると『わかりました』という返事。その後6月22日に電話で『市役所まで来てほしい』と。私たちは、あくまで市長が御旅町に来て説明すべきだと思っていたので、拒否。市の言い分は『市役所に来てほしい、と要請したが、御旅町の住民は来なかった。だから許可証を下ろした』というものでした」。
7月4日には、緊急住民集会が開催された
西原会長の説明に、「ちょっとひどいんと違う」「吹田市は横暴や!」。会場は怒りと嘆きに包まれた。
産廃事業を進めるのは、大阪都市開発梶B一般ゴミ収集業者である村尾興業鰍フ駐車場を利用して、産廃を集め、選別し、廃プラスティックをシュレッダーにかけて処理する計画だという。
今回、吹田市が建設許可を下ろす判断をしたのは、問題の業者村尾興業と、周辺住民との覚書が存在したから、と噂されている。
しかし、覚書締結時点では、今回のような産廃施設ができる、なんてことは思いもよらなかったことだ。この産廃事業については、1万筆以上の反対署名が寄せられ、明らかに数年前とは状況が違う。だからこそ、市長は「政治判断」という言葉を使って、「許可は下ろさない」ことをにおわすような発言をしたのではないか。
例えば、村尾興業鰍ヘ、吹田市の一般ごみ収集業者である。吹田市内で産廃業を営もうとするような業者に対して、吹田市は今年度も前年と同じ契約で、1億円近くのごみ収集委託を行っている。なぜだ?
産廃施設の建設をストップさせたい、と考えるのなら、市長の「政治判断」はこの時に下されるべきではなかったか?
子どもを持つ親の気持ちも考えてほしかった…
「吹田市は『住民への説明義務はない』と開き直っていますが、私たちは市長が『止めます』とおっしゃったのを聞いているのです。府・市会議員さんたちも、党派を超えて反対で動いてもらっていたのに…」(徳永愛弓さん、真本佳織さん、松岡幸枝さん)
今後、御旅町住民は、今回の建設許可に対して「不服審査請求」を行うことになるだろう。吹田市始まって以来の産廃施設。大きな山場は「建設許可」であった。残念ながら吹田市長は、多くの地元住民の願いを無視する形で、許可を下ろしてしまったのだ。
市長に取材を申し込んだが・・・
さて本紙では、阪口吹田市長本人にインタビューを申し込んだ。市長には取り次いでもらえず、吹田市秘書課が出てきて「御旅町産廃施設については建設許可を下ろしたので、今後は担当部署である都市整備部が粛々と業務を行うことになります」という市長のコメントを代読した。「うめかも」でも市民の声を聞かずに勝手に合意。御旅町でも市民の願いを踏みにじって「勝手に許可」。いったいどないなってんねん!