吹田市東御旅町に建設が予定されている産業廃棄物処理施設。住民が根強い反対運動を繰り広げているにもかかわらず、吹田市長が「建設許可」を与えてしまったために、吹田市始まって以来の産廃施設が建設され、操業を開始しようとしている。住宅密集地に産廃施設? 本当にこんなことを許していいの? 建築現場からレポートする。
地元住民は吹田市が下ろした建設許可に対して、「不服審査請求」を行った。しかし住民がわらにもすがる思いで提出した「不服審査」も、今年の3月、吹田市建築審査会が棄却。建築審査会の7人の委員は、吹田市が任命している。つまり「親(吹田市長)の決定に子ども(委員)が逆らうことは、まず考えられない」のだ。
住民たちは棄却を不服として、国土交通省にあてて、「再審査請求」を行った。「産廃を止めるために、できることは何でもやろう」ということだが、「やはり吹田市長が許可を下ろしたのが大きいですわ。1万2千筆の署名を添えて、『産廃をストップさせてください』と頼んでときには、市長は『わかった!止めます』と言うてはったのにねぇ」。地元の主婦がため息交じりに証言する。
同じ大阪府下の寝屋川市で、廃プラ施設による健康被害が深刻化している。付近住民から「目がちかちかする」「のどが痛い」「ぜんそくになった」「湿疹が出た」などの被害が急増しているのだ。専門家の疫学調査によると、廃プラ施設の近くに住む住民ほど被害が大きかったという。
「廃プラスティックを燃やさず、シュレッダーで裁断するだけ。健康被害は出ない」と業者は主張する。しかし寝屋川市のような健康被害が出れば、誰が責任を取るのか?
高いトタン板に囲われた工事現場。着々と組みあがっていく廃プラ処理施設を見上げながら、今日も地元住民は不安な日々を過ごしている。