住宅から2本目の線路がはがされ、1本目の線路がその空いた空間に移設される。公害道路は最も住宅に近い所を走る(吹田市泉町)
工事周辺地域で貼り出されたポスター
「公害道路いらない」「一日1000台のトラックはごめんだ」。住民の切実な願いが届かず、梅田貨物駅の吹田移転工事が始まった。現在は写真でご覧のように、住宅側から2本目の線路がはがされている。最終的には住宅側に接している線路を、この空いたスペースに移動させて、現在の線路部分が「貨物専用道路」になる予定だ。
つまり「貨物専用道路(公害道路)」は住宅に最も近接したところを走る。
「せめて公害道路をドーム化してほしい」と、今年はじめ住民署名が1万3千筆集まった。しかしJR、吹田市ともに、いまだにドーム化に関する回答を行なわず、沈黙したままだ。
5年という長期にわたり、なおかつ夜間を中心とした工事になるため、住民たちは独自のポスターで要望を張り出している。貨物駅移転にかかわる協定では、「住民の円滑な合意」と、「JRは環境を悪化させないような対策を講じる」となっており、事業者であるJR機構と、吹田市の「誠意」が問われている。
すでに営業許可が下りて操業間近の大阪都市開発株式会社(吹田市東御旅町)
貨物駅移転問題と並んで、これも吹田市南部地域、東御旅町の産業廃棄物処理場問題。吹田市が「建設許可」を下ろしてしまったので、あとは大阪府が「営業許可」を出すかどうか、が争点であったが、今年3月、住民の願いむなしく、大阪府は営業許可を出してしまった。これで産廃業者「大阪都市開発(株)」が操業を始めれば、吹田市始まって以来の産廃処理場が稼動することに。
しかし、住民たちは「産業廃棄物処理施設から環境を守る周辺住民対策会議」を立ち上げ、(1)業者が操業を開始する前に地元住民代表と協定書を交わすこと、(2)地元住民の健康被害が起こらないような保健体制を確保すること、(3)事業者に情報を公開させること、(4)苦情が出たとき、大阪府・吹田市・大阪市は連携して調査し、情報を公開すること、などを求めて、運動を進めている。
ここでも、大阪府・吹田市が住民の健康を守る立場に立つのか、業者の営業を無批判に是認するのか、が問われている。