吹田市がまたもや民間呼び込み型の街づくりに身を乗り出そうとしていることが明らかになりました。
エキスポランド跡地にアメリカの映画会社「パラマウント・ピクチャーズ」によるテーマパークを建設するという構想があることが明らかになったのが、今年の7月。
そして、このたび橋下大阪府知事と吹田市長が会談を行い、テーマパーク誘致へ向けて「共闘」することを確認したことと、8月19日付の産経新聞で紹介されています。
記事の中では、この構想について「経済効果の試算が1千億円単位」であり、知事は市長に「大阪活性化の起爆剤になる。万博記念公園を核にする街づくりをすすめたらどうか」と提案、また、難色をしめす万博機構を「民間がお金を投じてやってくれると言っている。僕と市長で責任を持って住民には説明するのに、なぜ反対するのか」と批判。
この構想をすすめている燦キャピタルマネージメントという投資会社の社長はネット上のある記事で自ら、大阪府知事の諮問会議のメンバーであることも明かしたうえで「パラマウントと大阪府の橋渡し役≠した」と語っており、府知事がこの構想の立役者であることが浮かびあがります。
問題なのは「地元は大賛成」と市長が勝手に応じ、吹田市がこの構想に巻き込まれようとしていることです。
広大な面積のエキスポランド跡地問題は、地元自治体にとって重要なことは言うまでもありません。しかし、市長は、会談の中で「周辺地域の交通整備を求め」、地下鉄今里筋線の北伸計画を現実のものにして、東部拠点開発と一緒に浮上させようとしています。企業呼び込み型の開発が次々と破綻しているこのご時勢に、東部拠点に加えて、テーマパーク構想にまで大阪府や関西財界とともに乗り出すというのは、あまりにもリスクが大きすぎるのではないでしょうか。また、今里筋線北伸計画も、大阪市が乗り気ではないとされています。狭い大阪の中に、USJに類似したテーマパークはもういらない、という声もすでにあがりはじめています。東部拠点にいきなり「ゼロ系新幹線」を運び込んだり、テーマパーク構想に引きずられたり、最近、吹田市はフライング気味が心配されます。東部拠点の開発についてもたしか、「経済活性化の起爆剤」とか言われていたような…。「起爆剤」がそんなに簡単にあちこちにあるわけはありません。エキスポランド跡地利用については、市民の声をしっかり聞いて、地元自治体として、冷静な判断をすることこそが求められています。
吹田市では現在、東部拠点開発をはじめとする建設事業費の総額が650億円もする5大開発事業がすすめられている一方で、400人近い職員の削減計画や行政の事業をすべて洗い出し、民間委託をすすめる「事業仕分け評価」をすすめています。これまで「子育てするなら吹田」と高い評価を受けてきた保育事業の一部や体育館の事業の委託化などがもりこまれています。山田駅前に建設中の青少年拠点施設の運営主体についても、地域住民からは「直営」を求められているのに「まだ未定」という有様です。
総選挙では、行き過ぎた「構造改革」路線からの転換が叫ばれ、「官から民へ」のかけ声で一気にすすめた郵政民営化の反省まで俎上にのせられました。吹田市の開発も福祉も教育も民間に任せたら大丈夫!という姿勢は少々、無責任ではないでしょうか。