「この地域はいまやオールドタウンだ」と言われるほど高齢化が進む千里ニュータウン。ニュータウンの玄関口として賑わった阪急南千里駅も、最近では人通りがめっきりと減少、通行人に代わって、目立つのは公社・公団住宅の建て替えに伴うマンション工事だ。
そんな南千里駅前がリニューアルする。街がどんな風に変わるのだろう?再開発に伴う問題は?住民たちはどう感じているのだろうか?
まずは再開発計画の概要を知らねばならない。吹田市役所「千里再生室」で計画案を尋ねた。
千里南地区センター再整備事業区域図
Q:今回の駅前再開発で、街はどのように変わりますか?
A:南千里駅前再開発事業は、大きく3つのパートに分かれます。1つ目が図のA部分、交通広場の再整備です。現在ホテルマーレとタクシー乗り場(Bの部分)の間は道路で、府道吹田箕面線とつながっていますが、交通安全上の問題もあるので、ここを遮断してロータリーにします。片側2車線でタクシーの待機所とバス停を作り、ホテルマーレと、新しくできる(仮称)南千里駅前公共公益施設とを回廊で結びます。(イメージ図参照)
次にBの部分、つまり(仮称)南千里駅前公共公益施設ですが、これは地上8階地下2階のビルとして、主に行政施設が入る予定です。
最後にCの部分。現在ここには銀行や郵便局、千里出張所などが入っていますが、全て移転して取り壊します。そして公共広場とリザーブゾーンになります。
千里南地区センター再整備事業(交通広場建設工事)イメージ図(Aゾーン)
現在のタクシー乗り場付近が(仮称)南千里駅前公共公益施設に(Bゾーン)
現在のタクシー乗り場付近が(仮称)南千里駅前公共公益施設に(Bゾーン)
Q:再開発のスケジュールは?
A:A部分、交通広場の再整備から取りかかって、2011年4月には供用開始予定です。B部分、(仮称)南千里駅前公共公益施設整備事業は、PFI事業者選定がすでに終了。来年度中に工事を開始し、2012年4月にオープンする予定です。C部分、公共広場の工事は、その後になりますね。
Q:(仮称)南千里駅前公共公益施設は、PFI方式で建設・整備するとのことですが?
A:P(プライベート)F(ファイナンス)I(イニシアティブ)といって、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です。具体的には「奥村組グループ」が約86億円(税抜き)で落札し、今後20年間、つまり2044年まで、この施設の建設と維持管理を行うことになります。
以上がこの再開発計画の概要だ。少し気がかりなのが、PFI方式で行う(仮称)南千里駅前公共公益施設だ。落札額約86億円の65%ほどがビルの建設費、残りが維持管理費に充てられる。 約30億円に及ぶ維持管理費を20年で割ると、毎年1億数千万円。確かに行政は縦割りなので、直営で維持管理すると、無駄な支出がかさむだろう。吹田市が直営でビルを建てると、その代金は一括で払わねばならず、そのため起債などで借金をすれば金利負担が生ずる。PFIなら20年の延べ払いなので、一括で払わなくても良いものの、やはり「20年ローン」の返済が義務付けられる。どちらが「賢い選択」なのか? いずれにしても、行政と事業者、市民がじっくり話し合って、南千里駅前を再生させてほしいものだ。