「W杯開催地 吹田市が立候補断念 G大阪と条件会わず」。今年3月、新聞紙上でこのような見出しが躍った。2018年と22年に誘致を目指しているサッカーW杯に対し、吹田市は今年1月に開催都市として立候補していたが、わずか2ヶ月もたたないうちに立候補を取り下げたのだ。
立候補断念の原因は、G大阪と吹田市の条件が一致しなかったこと。W杯に立候補するには、サッカー専用の(仮称)新ガンバスタジアムが必要だ。
このスタジアムは、万博記念公園内に、企業や個人からの寄付を中心にG大阪が建設し、吹田市に寄付する予定だった。
しかしスタジアム建設用地の賃料や、将来の修繕費負担の問題などで、両者が合意に至らなかった。
スタジアムができなければ、W杯は当然無理なので、立候補取りやめとなった訳である。
「今の財政難を考えれば、W杯立候補で税金を使われるのはたまらない。断念で良かった」と思われる方や、「期待していたのに。新ガンバスタジアムで世界のサッカーを見たかった」と言われる方もいるだろう。
ここで冷静に考えたいのは、「なぜこれほど大きな問題が、短期間で浮上し、消えていったのか」ということだ。
それはズバリ、阪口吹田市長の「思いつき市政運営」に問題があるのではないか。G大阪から提案があっても、当然予算などクリアすべき問題があるし、W杯招致ともなると、長期間にわたる招致費用など「市民合意」をどうとるのかという問題もある。
この手の話はメディアが飛びつく。
記者会見で「ガンバスタジアムの賃料の問題は?」などの質問があった。質問を受けて市長が饒舌に語りだしたので、市職員が慌てて市長を止めようとした。市長は職員の制止を振り切って「未確定じゃないよ。やるよ、私は!」と言い切ったという。(昨年12月22日付け日刊スポーツ)
結果は、「未確定で、やれなかった」(笑)。
議会にも事前にはからず、市民の声がどこにあるかも分からないうちに、そして市職員を振り回して、「断念」した立候補だった。
問題はこの「新ガンバスタジアム&W杯立候補」だけではない。
2009年秋に、吹田市は吹田市北部にある国立循環器病センター(以下国循と略)を、JR岸辺駅前の吹田操車場跡地に移転させたい、と発表。
地元千里の住民でなくても、「えっ、それいつどこで決まったの?」という話が突然出てくる。もともと国循は「地元での建て替え」を決めていたはずなのに。
国循だけではない。吹田市は吹田市民病院も操車場跡地への移転を検討している。吹田市片山町の、今の場所ではダメなのか?移転に関わる費用はいくらかかるのか?そもそも移転する必要があるのか?…。
いったい吹田市の重要施策はどこで決まっているのだろう?
まさか阪口市長と側近との「密室談義」で、「それいいな。じゃぁ、明日提案しよう」などと「思いつき」で決まっているわけではないと信じたいのだが…。