今年の酷暑は異常だった。ギラギラと照りつける太陽、熱中症で倒れる人が相次ぎ、寝苦しい熱帯夜が続いた。コンクリートで固められた大阪は「ヒートアイランド現象」のため、さらに蒸し暑く、沖縄より気温が高い日も多かった。
そんな酷暑について回るのが局地的な「ゲリラ豪雨」。異常に温められた空気が上昇気流となり、瞬時に雲が発達しゲリラ豪雨が各地を襲う。もちろんわが吹田市も例外ではなく、近年たびたび激しい豪雨に襲われている。吹田市ではこの「いつ来るか分からない豪雨」にどのように備えているのだろうか?気温40度近い残暑の中、吹田市のゲリラ豪雨対策を取材した。
「着きました。ここですよ」。市役所下水管理課の職員さんに案内されたところは、千里山東公園。阪急関大前駅と千里山駅の中間点、上の川沿いにあるきれいな公園だ。なんとこの公園の下には貯水量9100m3の巨大な調節池が眠っているのだ。
「大きさはどれくらいですか?」
「縦40m、横57m、深さ8mの巨大な池ですね」
「雨水はどれくらい貯まるんですか?」
「25mプールで約35杯分です」。
さっそく中へ入ってみよう。
ギーッというきしみ音を立てながらドアを開け、階段を下りる。
「うわーっ、これは巨大な空間ですね」
「こちらが吐口、つまり雨水の侵入口です。降雨時には地上の川へ流さず、ここから水を落とし込むのです」。
調整池の中央には大きなポンプが備え付けてあって、豪雨がすぎさった後に、たまった水をポンプアップして上の川へ流す。
この調整池ができたのは、2003年。それまでは上の川上流一帯、つまり千里山・佐井寺地区が急速に開発され、田んぼや竹やぶが姿を消し、自然の保水能力が減少したため、この地域はたびたび床上、床下浸水などの被害が発生していた。この調整池ができてからは、昔のような洪水被害は今のところなくなっている。
吹田市には、このような調整池のほかに小規模な遊水池を設けたり、大きな雨水管を施設したりして、洪水を未然に防いできた。
しかし昨今のゲリラ豪雨は、これまでの常識を覆すほどの激しさで都会を襲っている。
吹田市では雨水貯留タンク設置助成制度を開始した。各家庭にこのタンクを設置することで、暑い夏の散水や打ち水などに雨水を利用しながら、大雨時の浸水被害の予防に役立てようという試みだ。豪雨の際には、浸水地域に前もって土のうを設置するなど、文字通り浸水を水際で食い止めるサービスも行っている。来年はもっと暑い夏になるのだろうか?地球温暖化対策は待ったなしである。