「吹田市が5億円かけて『まちの駅』を作る?」こんなニュースが飛び込んできたのが2010年10月。えっ「まちの駅」って?思い浮かぶのは田舎の国道沿いに、巨大な駐車場とともにその村で採れた野菜などを売るところ。「それは道の駅や!」というツッコミを受けながらも、果たして吹田の「まちの駅」では、「すいたクワイ」や「マロニー」、「正露丸」などを売るのであろうか?「駅」はどこに作られるのか?調べてきました。
「ここは以前の法務局と違うの?」。そう、「まちの駅」は旧吹田法務局の跡地に建設される予定。地下鉄江坂駅と阪急吹田駅のほぼ中間地点、大通りに面していて周囲にはファミリーレストランやドラッグストア。車で行くには便利なところだ。
7年前に法務局は茨木市の大阪法務局北大阪支局に統廃合され、敷地には「国有地。売却予定。近畿財務局」と大書された看板がポツンと掲げられている。
しかし旅行時によく訪れる「道の駅」のようなイメージではない。敷地面積が狭いので、これでは駐車場スペースが取れない。かといって歩いて行くには駅から遠い。ほとんどバスは走っていない。観光客はここまでやって来れるのか?いや、そもそも「吹田市を観光する人々」が存在するのだろうか?
そんな「素朴な疑問」を胸に、吹田市役所で尋ねてみた。
探偵「『まちの駅』ですが、あの場所は狭いので駐車スペースが問題ですね」
吹田市「そうなんです。計画では10台程度の駐車場になります」
探「『道の駅』とどう違うのですか?」
吹「『道の駅』は駐車場が20台以上ないとダメなんです。『まちの駅』は、基本的にはトイレと休憩場所、そしてまちの案内情報があれば、どこでもオープンできます。全国で1661駅あって、市役所内部やレストランなどにも設置できます。近隣では兵庫県相生市や和歌山県高野町にもありますよ」
探「吹田の『まちの駅』ではどんな物を取り扱って、どんな施設になるのですか?」
吹「吹田の名産物の販売だけでは不十分だと考えています。地産地消の観点から、地元農家が作った野菜などの朝市ができればいいですね。もちろん吹田市内の企業情報や観光スポットの案内、市政情報などを発信します。またいわゆる国内の『姉妹都市』の産直販売など、イベントも多種多彩に行う予定です」
探「どこが国内の姉妹都市ですか?」
吹「福井県の若狭町や高知県の土佐町など。近くでは能勢町もそうですよ」
探「気になる予算ですが、約5億円必要だと?」
吹「土地の取得に約2億円、建物の新築に3億円くらいかな、と見積もっています。建物が老朽化しているので、改築しても同じくらいかかります。予算がない中で5億円は厳しいのですが、放置すればあの土地が民間業者に渡り、マンションになったりします。『まちの駅を作る』というのは市長の公約でもありましたから」
探「民間に渡るより公共施設になる方が良い面がありますね。でも『まちの駅』を運営していくのも一苦労ですね」
吹「頭を悩ませています。どんなイベントを行えばお客さんに来ていただけるのか?物販などの常時機能だけでなく、地域の声を聞きながら来客が増えるように工夫しなければなりませんね」
法務局が統廃合される時、大きな反対運動があった。市民の利便性を考えると、法務局は身近にあるべき。しかし国は強引に統廃合を押し進めた。その後1073m2の土地と老朽化した建物が残った。果たして「まちの駅」はヒットするのだろうか?老人デイサービスセンターなどの案はどうだっただろう?限られた予算の中で、難しい舵取りが求められている。