吹田市は全国的に見ても「住んでみたい町」の上位にランクされている。それは「福祉に手厚く、特に子育て世代に人気がある」からと言われているが、もう1つの売りは「都心に近いのに、緑が多い」という都市環境だろう。
千里ニュータウンに点在する緑地帯や紫金山公園、万博公園など上空から見た吹田は、鉄道や道路網が広がる街に緑が目立っていた。
だが、そんな吹田の良好な住環境も「今は昔」となってしまいそうだ。
千里丘の日生の森、毎日放送の敷地内に広がっていた緑、千里山公団で親しまれていた桜並木、ニュータウンの公社建て替えによって奪われていく緑…。
今回はそんな「ちょっとした危機感」から、最近特に変わりつつある町の風景を特集してみた。それにしても吹田の街は開発工事だらけ。「もう、えーかげんにしてほしい」と思うのは編集者だけかな?
(1)阪急千里線は北千里から箕面に延伸される計画だった。計画は断念され、その鉄道敷に住宅が建設された。
(2),(3)毎日放送跡地に巨大マンション「ミリカヒルズ」が建設中。何と甲子園球場10倍の敷地に633邸。毎日放送敷地に咲き乱れていた桜並木は、もうなくなってしまった。
(4)千里丘の日生の森には、かつてキツネが棲んでいた。都会では珍しい巨大な雑木林で、子どもたちの遊び場でもあった。森が切り開かれ、今はご覧のような巨大マンションがそびえている。キツネはどこへ行ったのだろう?
(5)操車場跡地には病院や大学がやって来る計画。しかし吹田市南部は緑が少ないので、ここを「緑あふれる防災公園」にしても良かったのでは?
(6)その操車場跡地に「吹田貨物ターミナル駅」が作られる。貨物駅にアクセスするトラック専用道路(公害道路)が作られている。
(7)岸辺駅に北口誕生。南北を分断していた操車場跡地が開発され、便利になった。
(8)津雲台の住宅供給公社が建替えられ、高層マンションに。元々は中層棟がゆったりと建てられていて緑も多かったが、「余剰地をマンションにする」施策のため、多くの緑が奪われてしまった。
(9)同じく桃山台の公団建て替えで建設された高層マンション。南千里駅前でひときわ目立っている。
(10)千里山の公団は、日本最古のもの。ここの桜並木は有名だったが、やはり建て替えで、かなりの桜が切り倒された。
(11)新御堂筋より西側にある春日町は、吹田市の飛び地とでも言うべきところで、広大な竹やぶが広がっていたが、昨今の開発でほとんどがマンションに。
(12)JR吹田駅の北側に広がっていた官舎群。一部が取り壊され、跡地に大学がやってくるとか。
(13)阪急吹田、下新庄駅間に十三高槻線が通っている。この十三高槻線は阪急千里線で分断されていたが、アンダーパス工事が進み、いよいよつながることに。便利になる分、交通量が飛躍的に増加する。期待と不安が混ざった工事が粛々と進んでいる。