「井上市長は損害を賠償する責任がある」。100条委員会はキッパリと市長を断罪した
市長の「疑惑」に揺れる吹田市役所
3月3日午後1時「吹田市グリーンニューディール基金に係る随意契約及び関連業務等に関する調査特別委員会」、いわゆる100条委員会が開催された。1年以上にわたる膨大な調査、井上市長以下、関係人に対する参考人招致や多数の資料、記録を基に最終結論が下された。
「井上市長は、不適切な補助金執行により、当時の市場価格を超える金額、少なくとも800万円の損害を吹田市に与えた。井上市長個人は、その損害額を吹田市に賠償する責任があり、吹田市は環境省に同額を返還すべきである」。
和田学委員長の「結論」が議場に響いた。テレビカメラが回り、新聞記者のペンが走る。この日の委員会では、「最終報告書」の「はじめに」と「目次」、そして第1章「結論」が資料として傍聴者に配られた。
「結論」ではまず「関係法令からの逸脱及び不適正な手続」として、吹田市本庁舎への太陽光パネル設置工事について、「市場価格を少なくとも800万上回る金額で契約している」と、具体的な「不正金額」を指摘。
第2に「市長の責任」として、自分の後援企業に単独随意契約を結ぼうとしている契約文書に「漫然と決済した法的責任」を問うている。これは議会の中で井上市長が「知らなかった」「部下がやったこと」という発言があったのでこのような表現になっている。報告書は続けて「なお、井上市長が決裁書類に目を通さず、相手方が後援会関連企業であったことを知らずに決済をしたと弁明しているが、そのことだけでも職責を放棄する重大な事態であり、市民の信託に反する」と、断罪している。つまり「知ってやった」なら、法的道義的責任があるし、「知らなかった」なら、市長としての管理監督義務違反ということだ。
第3は「損害の発生」。800万円という具体的な金額を返済せよという指示である。
そして第4は「市長の指示の疑い」。重要な契約が、市長への事前説明もなく締結されたとは考えにくい。あらかじめ市長の了解を得て進めていたという疑惑が最後まで払拭できなかった、としている。その上で、100条委員会として
①建築課が通常行わない仕様書作成業務を行った。
②適正な積算業務を怠っていた
③概算工事費を精査できていなかった
④契約検査室に起案文書を回さず承認を求めていなかった
⑤契約金額が漏れていた可能性があった
⑥契約時に内訳書を提出させなかった
⑦環境省に対して事実と異なる報告を行っていた
ことが調査の上で発覚したと報告している。
以上の「結論」を踏まえて出席委員から厳しい報告が続いた。結論として、吹田市長以下、幹部職員の中に事件を隠蔽する体質があった。工事の後に競争入札に見せかけた見積書を取っている。グリーンニューディール基金の残額に合わせるように、工事代金を決定している。問題の太陽光パネル工事を受注した摂津電気㈱が、工事内訳書を事件発覚後に提出している、などの事実があげられた。最後に「井上市長と幹部職員は、背任の疑惑があるが、100条委員会は警察などの捜査機関でないので、調査に限界があった。強制力のある捜査機関が捜査すれば、背任に当たる罪が立件できたかもしれない」と、強い口調で報告がまとめられた。この調査報告書は、全員一致で可決された。
疑惑が究明されはじめ、いよいよ立場が危うくなってきた井上市長。この報告を受けて市長はどう対応するのか?800万円を返還するのか、返還しないのなら、市長不信任決議が提出されるかもしれない。吹田市政をめぐる情勢は風雲急を告げてきた。
同じ金額 ― 一目瞭然
吹田市役所本庁舎屋上に設置された問題の太陽光パネル設置工事が、いかに法外な価格で発注されたか、が一目瞭然で分かる事例があった。
豊中市北部、マンションの太陽光パネルが、吹田市のものと同時期に、ほぼ同じ予算で設置されているのだ。
このマンションは新千里西町にあるパークハイム新千里(丸尾誠一理事長)。実質約2000万円で、60kwの発電を誇る。写真で比較すればその差は歴然。マンションの方は280枚のパネルを敷き詰めているのに、吹田市役所は80枚だ。それもマンションのパネルは最新式の単結晶タイプで、吹田市は旧式の多結晶。枚数も性能も豊中の方がはるかに上回っていて、工事費はほぼ同額。「工事費は あたり42万円でした。今はもっと値段が下がっているはずです」とは丸尾理事長。吹田市は あたり約130万円である。吹田市長とその後援企業である摂津電気㈱が、いかに「おいしい」工事を進めていたかがよくわかる。
約2000万円でパネルを敷きつめたマンション
約2200万円で、たったこれだけ…