日本では原発と戦争は別々に報道される。でもこの2つは、実はつながっている。戦争と原発の共通点は、①背後に莫大な利権があり、一部の人々が甘い汁を吸っていたこと。②両者ともウランを使って地球を汚していること。③そして差別の拡大である。戦争は多くの障がい者を生み出すし、原発は都会が田舎に押しつけた物だ。
「戦争と原発はつながって」いて、「大手メディアが報道しないことで被害が隠されていく」のだ。
アメリカはイラクやアフガンで大量の劣化ウラン弾を使用した。ウランは天然に存在する金属の中で、最も重くて堅いので、銃弾の先にウランを装填すれば、それは「無敵の兵器」となり、戦車や地下壕を貫いた。
ではそのウランはどこから来たのか?
オーストラリアやカナダ、アフリカ大陸にはウラン鉱山がある。地下数百mまで穴を掘り、わざわざウランを採掘する。何のために?
それは①核兵器を作るため②原発で電気をつくるためである。採掘された天然ウランには核分裂するウラン235が、約0.7%しか含まれていない。だから原子炉で天然ウランをそのまま燃やすことはできない。日本の場合、天然ウランはいったんアメリカの工場に送られる。
第2次世界大戦末期、アメリカでは原爆を作るための「マンハッタン計画」が極秘に進められていた。1942年、オッペンハイマー博士たち約10万人ものスタッフが、ロスアラモスで極秘に研究をスタート。
1943年、オークリッジにウラン濃縮工場(広島型原爆製造のため)、ハンフォードにプルトニウム生産炉(長崎型原爆製造のため)が完成する。
原爆の材料となるプルトニウムは天然には存在しない。原子炉でウランを臨界反応させることによって人工的に製造される。
1945年7月16日、世界各国がポツダム会談に臨むまさにその日に、アメリカはアラモゴルドで、世界初の核実験を成功させる。
そして8月6日、ウラン型原爆が広島に、その3日後、プルトニウム型原爆が長崎に投下された。戦争に勝利するのが確実なのに、アメリカはなぜ2発もの原爆を投下したのか…。それはウラン型のリトルボーイとプルトニウム型のファットマン、 両方の威力を試したかったからだ、と推察する。
【 マンハッタン計画 】 | |
1940年 | 0.4kgの濃縮ウランがあれば原爆が作れる、という事実を発見。 |
1942年 | オッペンハイマー博士らがロスアラモスで研究を始める。 |
1943年 | オークリッジに、ウラン工場。ハンフォードにプルトニウム生産炉。 |
1945年 | 7月16日 アラモゴルドで世界初の核実験(プルトニウム型) |
1945年 | 8月6日 ヒロシマへリトルボーイ ウラン型投下 8月9日 ナガサキへファットマン プルトニウム型投下 |
福島では汚染水漏れが続いていて、労働者は被曝しながら必死の作業を続けている。沖縄の辺野古では、おじい、おばあが必死の座り込みを続けて、新基地押し付けに抵抗している。しかしそんな映像は流れず、記事も発信されない。新聞はスポーツ紙のようになり、テレビはニュースもワイドショーもソチオリンピック一色になった。これは原子力ムラ、アメリカ、日本の財界、軍産複合体などにとっては、とても都合の良い状態だ。人々の関心は薄れていき、やがて福島も沖縄も忘れ去られていく。脱原発や基地建設反対の世論が盛り上がらなければ、権力者は好き放題にやりたいことができる。日本では、脱原発の運動と集団的自衛権行使に反対する平和運動が、まだバラバラにされている。脱原発と平和運動を統一し、大きな運動にしていかねばならない。私たちは今こそ「全てがつながっている」「メディアは肝心なことを伝えない」ことを見抜かねばならない。
(イラストはKAKOさん)