SUITA市民しんぶんVol.3(2006)
今年前半、吹田市の「流行語大賞」は“うめかも”だった。梅田貨物駅(うめかも)が吹田へ移転されることの市民の意思を問う住民投票は、4万人近い市民の賛同を得て4月の吹田臨時市議会で審議された。阪口吹田市長の「住民投票は必要ない」という意見が付記されたため、市会議員の多くが市長と同意見となり、24対11で否決されてしまった。
そもそもこの計画は、梅田の再開発と引き換えに、貨物駅とトラックターミナル、そして公害道路という「迷惑施設」を吹田に押し付けられるという性格のものであり、吹田にとってはデメリットばかりではないか、という疑問が当初から生じていた。
普段から「環境を守りたい」「住民の声を聞きたい」と発言している吹田市長だが、この問題に限っては、市民の前から「逃亡」。公開質問状にも無回答で、公聴会にも出席しなかった。4月臨時議会では、市長派と目される議員からも「市民と面談しない市長の姿勢はいかがなものか」と、厳しい指摘もあった。
残念ながら住民投票は否決されたが、このような経過の中で、ようやく市長と住民との意見交換会が各地で開催されることになった。その中のひとつ、6月15日に開催された吹二地区自治会連合協議会でのひとコマ。
市民「この地域には公害道路ができるだけで、緑化も進まないが、メリットはあるのか?」
市長「トータルに考えてほしい。吹田操車場跡地の開発で、トータルとして街は良くなる」
市民「確かに、JR岸辺駅前は立派になるかもしれないが、そのためにこの地域は犠牲になれということか」
市長「私は命を賭けてやっている。本気です!」開き直る市長に対して、「本気でやっているなら、なんで市民と面談しなかったんだ!」と、住民投票を否決した市長の政治姿勢にも野次が飛び、議論がかみ合わないまま「市長との意見交換会」が終了した。
表に示すように、地元と話し合いの場は、きわめて不十分な形で開催されている。
この問題は、(1)1日1千台のトラックは吹田市内を走り回ることになる。(2)操車場跡地開発のために何百億円という市税が使われてしまうことから、地元8連合自治会だけの問題ではない。吹田メイシアターなど、大きな会場を用意して、早急に「吹田市民なら誰でも参加できる形態」で、市長との意見交換会を開催すべきだ。
連合自治会名 | 開催日時 | 形 態 | 状 況 |
吹一・吹六 | 未開催 | 自治会長だけでは責任が取れない、と開催を拒否 | |
吹二 | 6月15日 | 自由参加 約80人 | 野次が飛ぶ中、市民質問と答弁がかみ合わず |
吹三 | 5月20日 | 単位自治会役員のみ | 一方的に貨物受け入れは決定した、と伝える |
吹南 | 5月26日 | 自治会員参加 約30人 | 十三高槻線左折問題など、抗議に近い質問が出る |
東 | 7月3日 | 単位自治会役員 プラス各団体役員 | バラ色の街づくり説明のみ。予算の裏づけなし |
千一 | 6月24日 | 単位自治会役員のみ | 一方的に貨物受け入れは決定した、と伝える |
片山 | 6月1日 | 単位自治会役員のみ | バラ色の街づくり説明のみ。予算の裏づけなし |
岸部 | 6月18日 | 岸部街づくり協議会発足式に、 市長が来賓挨拶という形で、うめかも問題を語る |
吹田市民会館で「うめかもネット結成総会」がひらかれた
さる7月13日、「住民投票は否決されたが、移転に伴う公害問題など課題はいっぱい。引き続き幅広い市民運動で、問題を解決していこう」と、梅田貨物駅移転問題・対策市民ネットワーク(略称・うめかもネット)が結成された。うめかもネットでは、市役所前宣伝、全市民を対象とした「市長との意見交換会」、ニュースの発行などを行い、粘り強く運動を進めていく、としている。