東日本大地震での甚大な被害を目の当たりにして、あらためてこの国の防災態勢が脆弱であったことが露呈した。原発の安全神話が崩れ、被災者は地震、津波、放射能で3重に苦しめられている。政府や東京電力の対応が後手後手に回り、原発事故が拡大する中、支援物資が到着せず避難所で凍える人々の姿を見て、「この国の無責任体制」に愛想を尽かされた方も多かったのではないだろうか。
さて、わが吹田市はどうか?現在の吹田市、最大の課題は吹田操車場跡地の開発(東部拠点整備)だ。JR岸辺駅から吹田駅までの細長く広大な土地。
計画では、この場所に国立循環器病センター(以下、国循と略)や市民病院などを移転させて、「エコメディカルシティ」(環境医療都市)を作るというものだが、発想を切り替えて、跡地は「緑あふれる防災公園」にするべきではないだろうか。以下、理由を列挙する。
ざっと思いつくだけで、問題だらけの「東部拠点整備」。現在の状況を写真で見てみよう。
写真(1)はJR岸辺駅前再開発。大きな駅舎と南北自由通路がほぼ完成している。この地区は、操車場が南北を分断していた地区であり、駅前が整備され、自由通路ができることは歓迎すべきことだろう。駅舎の手前にバスのロータリーや商店が並ぶ予定。国循は、この駅舎の左右どちらかに移転し、その病棟に隣接するように市民病院が移転される予定。
写真(2)は、高層ビルから見た「緑のふれあい交流創生ゾーン」。「緑が足らない」との理由で、吹田市が約30億円を追加して土地を購入。結果、予算が倍増してしまった。
写真(3)は、JR西日本から譲り受けた「ゼロ系新幹線」。これは「タダより高いものはない」という慣用句の典型。九州から吹田への移転費用約2千7百万円。ゼロ系新幹線がさびないようにと、ビニールシートに約300万円。支払われているのは税金だ。
写真(4)は、工事が進む貨物専用道路。阪急吹田駅と内環状道路の交差点。この道路ができれば、1日1千台の大型トラックがやってくる。
ざっと、「東部拠点開発」の現在の状況を追いかけてみた。さすがにこの開発は無謀だと気付いたのか、現市長は「新たな都市の森」を言い出した。「吹田市南部にも緑を」という市民の声を聞き始めたことは評価すべきだが、一方で、これまでの「大型開発呼び込み方式」が破綻したことへの責任はほおかむりしたままだ。今後もどれだけの血税がつぎ込まれるか分からない「東部拠点整備」。思い切って「緑あふれる防災公園」に方向転換することを進言したい。