2014年11月16日、第32回吹田まちづくり・くらし・市政を考える研究集会が、大和大学で開催されました。住みよいまちづくりを願う市民、市職員、研究者、あわせて341人が参加しました。
開会にあたって、鈴木英夫実行委員長は、「32回を数える研究集会となりましたが、新しくできたばかりの大和大学での開催に至ったことをうれしく思っています。市政研の新しいスタートにふさわしい議論をお願いするものです」と挨拶。
続いて、大阪自治体問題研究所の中山徹理事長、市議会の村口始副議長からご挨拶いただきました。また、大和大学渉外広報本部長の松本伸司さんから歓迎のご挨拶をいただきました。
基調報告では、大阪都構想、地方創生法案あるいは自治体消滅論などで、自治体のあり方が問われていることが明らかにされるとともに、介護保険利用者の増加などに見られる市民生活の実態、呼び込み型開発がすすむまちづくりの現状が報告されました。そして、「今の市政は『人・物・金・情報』が集まる元気なまちをめざそうとしているが、吹田市が実施した『市政モニタリング調査』によれば、市民が願う「吹田市の望ましい将来像」は、「高齢者や障がい者など誰もが安心して暮らせる『福祉のまち』」が最も多く42.0%、次いで「子どもを安心して生み育てられる『子育てのまち』」(41.3%)、「安心して適切な医療が受けられる『医療のまち』」(34.5%)、「災害に強く危機管理体制が整い、交通事故や犯罪が少ない『安心・安全なまち』」(32.1%)と続いており、市民の願いは明らか。『人にやさしいまち吹田へ』いっしょに討論を」と呼びかけました。
記念講演は、吹田市在住の「なにわのアナウンサー」寺谷一紀さん。NHK時代に「千里ニュータウンが老いてゆく」特集番組の制作に携わったのをきっかけに、番組を企画・取材・報道するにあたっては、その地域に対する思い入れや皮膚感覚が大事であることを実感。まちづくりの議論にあたっても、そういうことを大事にして、問題を掘り起こし、議論を耕していただきたいと提起されました。また、単に病院が多いというような数字では表せない質の高さ、安心感が大事であり、そういう議論ができる「人づくり」も重要であるとお話されました。
午後からは3つの分科会に分かれて、住民と市職員、研究者が大いに語り合いました。
「防災からみた、みんなにやさしいまちづくり」を考える分科会では、中山徹さん(奈良女子大学教授)を助言者として、吹田市の防災施策や五月が丘地区における自主防災活動、災害時の医療・福祉機関の役割などが報告され、災害弱者をなくすまちづくりに向けた議論が行われました。公立保育園の避難訓練の実践や現業労働者が広島土砂災害被災地支援で果たした役割、市職員の大幅減のもとで災害時の体制不足などについても発言がありました。
「『新制度』のもとでの子育て・子育ち」を考える分科会では、保育所、幼稚園、学童保育はどう変わるのか、吹田市はどう対応しようとしているのか、市民はどう願っているのか、杉山隆一さん(佛教大学教授)を助言者として、熱心な討論が行われました。「今の民営化は営利目的の市場化であり、絶対に反対だ」という保護者の発言や、「民営化も幼保一体化もこどもの立場に立った議論が必要。地域支援や発達支援保育、虐待防止など、公立保育園が果たしてきた役割を今後も担うため公立保育園を存続させ、公的責任のもとで制度拡充を求めたい」という公立保育園保育士の発言などがありました。
「『成長戦略』と地域経済」を考える分科会では、岩根良さん(吹田自治都市研究所研究員)を助言者として、国がすすめる成長戦略と吹田版「地元経済の維新」について学ぶとともに、吹田の商業の現状、中小業者の現状、エキスポ跡地への複合商業施設をめぐる市民の思いなどが報告され、討論に。地域経済分科会としては、これまでにない50人を超える参加で「大変勉強になった」などの感想が寄せられています。