市役所の東玄関を出て3分かかるでしょうか、市役所裏手の泉町1丁目の住宅街にある2階建ての保育園です。共働き家庭で年度途中に生まれた子が、産休明けや育休明けからは認可保育所に入れないもとで、仕事をもつ親たちが働き続けられるよう、認可保育所に入れるまでの間、子どもを保育するという重要な役割をはたしています。1973年3月に泉町3丁目において松下園長の自宅を保育所に改造して開所。今年で38年目を迎えます。
乳母車に赤ちゃんを乗せて散歩していると、ご近所のみなさんが必ず声をかけてくれるように、地域に根づいています。とはいっても、阪急吹田駅から徒歩5分以内という立地条件の良さから、保護者の送迎にとても便利なため、ニュータウンをはじめあちこちの地域から入所希望者が絶えません。とくに、ここ数年で共同保育所も廃園になったり、認可保育所になったりで、あすなろの役割は大きくなるばかり。
「とくに、最近では、昔と比べてパートで働く親が預けることが増えたかな。社会情勢の反映でしょうね」と園長の松下愛子さんは語ります。あすなろ共同保育所の保育料は月4万円ですが、これも子ども一人あたり7万5千円の吹田市からの助成金があってこそ。「他市と比べると、吹田市の助成制度は手厚く、大阪府が補助金を廃止しても変わらないどころか、いっそう手厚くなっています。他市では補助金が打ち切られて閉所に追い込まれるという話も耳にするだけに、やっぱり子育てするなら吹田ですね」
しかし、いま吹田市がすすめている全事務事業ゼロクリア作戦に話が及ぶと、いつも笑顔の絶えない松下先生の顔色も曇ります。「共同保育所助成事業ももちろん20年以上経過した事業です。吹田市が次代を担う子どもたちを今後も大事にしてほしい」。さらに心配は「梅田貨物駅の吹田への移転で環境が悪化すること」だと言います。
そんな松下先生が一番うれしいのは、卒園児の親から「あすなろがあったから働き続けられた」と感謝された時だとのこと。市役所に近いということもあって、本当に多くの市職員が現在もふくめ、あすなろ共同保育所に子どもを預けて働き続けてきました。吹田市の保育行政のなかで大きな役割を果たしてこられたこと、そして市職員の就労を保障する役割も果たしていただいてきたことに、あらためて感謝したいと思います。まずは、あすなろの物資あっせんに協力しましょう。